
センター試験に代わり、2021年1月から始まる大学入学共通テストでは、英検などの民間の資格検定試験を受験する必要があるんだ。英検には色々な種類があるけれど、大学入試に必要な英検はどれだろう?
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共通テストでは英検などの民間の資格検定試験を受ける必要がある。
最初におさえておきたいポイントが2つあります。
1つ目は、現高校2年生が受験する2021年度大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)では、共通テストとして課される英語の科目試験のほかに、英語の民間資格試験を共通テストよりも前に受験しておく必要があることです。
2つ目は、英語の民間資格試験を受験する際には、大学入試センターが運営する「大学入試英語成績提供システム」(以下「英語成績システム」)を利用する必要があることです。
共通テストはセンター試験の代わりに導入されるものです。国公立大学やセンター試験(今後は共通テスト)を一般入試で活用する私立大学を受験するためには、以上の2点が必須となりますので、必ず押さえておきましょう。

「共通テスト」や「英語成績システムを経由しての英語の民間資格試験」の受験の要否については、各大学の募集要項で確認しましょう。
大学受験生が受けるべき英検は3種類
これまで説明してきたとおり、共通テストを受験する場合、それより前に(詳細は後述)英語成績システムを利用して英検などの民間資格試験を受験しなければなりません。
英語成績システムを利用できる英語の民間資格試験は大学入試センターにより指定されていて、英検、GTEC、TEAP、TOEFLなどがあります。
このうち英検については、次の3種類の方式のみが認められています。
- 英検CBT
- 英検2020 1day S-CBT
- 英検2020 2days S-Interview
すぐに「あれっ」とお気づきになった方もいるかと思います。
そうです。このなかには「従来の英検」は含まれていないのです。
つまり、2021年度大学入試以降の共通テストで必要となる英語の民間資格試験では、従来の英検は利用できず、3つの「新英検」のいずれかで受験する必要があります。
これより先は、3つの新英検について従来の英検との差異にも触れながら、それぞれの特徴を確認していきます。
英検CBTとは?
英検CBTのCBTは、「Computer Based Testing」の略です。
つまり、英検CBTとは、コンピュータ(パソコン)上で受験する英検のことです。
- 大学受験生に限らず、だれでも受験できる
- パソコンを使って回答する
- リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの4技能を1日で測定できる
- ライティングはパソコンのキーボードでタイピングして回答する
- リスニングはヘッドセットをつけて音声を聞き、パソコン上で回答する
- スピーキングはヘッドセットをつけてパソコンに回答を吹き込む
- 受験機会は年3回
- 出題内容、難易度、採点基準は従来の英検と同じ
- 試験日程が違います。従来の英検では、1次試験でリーディング、ライティング、リスニングの能力を測定し、これに合格すれば、別日程で行われる2次試験の面接でスピーキング能力を測定します。一方、英検CBTでは1日で4技能全ての能力が測定され、4技能のスコア結果が一度に出ます。
- ライティングの回答方式が異なります。従来の英検は紙に書く方式です。英検CBTはパソコンでタイピングする方式です。パソコンに慣れていない人にとっては大きな変化点となります。
- スピーキングの回答方式が異なります。従来の英検は面接官との面接方式です。回答を言い間違えたり、言い足りなかった場合には言い直しや付け足しができました。これに対し英検CBTは、パソコンから流れてくる質問に回答を吹き込む方式です。回答内容を頭で整理したうえで、正しい回答を吹き込む必要があり、英検CBT向けの練習が必要になると思います。
- 対象級は3級から準1級の4グレード。1級は受験できません。
英検2020 1day S-CBTとは?
- 大学入試のための英検。高校3年生と既卒生だけが受験可能
- 1日で4技能の測定が可能
- リーディング、ライティング、リスニングは解答用紙にマークまたは記述する方式(=従来の英検)
- スピーキングはヘッドセットをつけてパソコンに回答を吹き込む方式
- 受験機会は年2回
- 出題内容、難易度、採点基準は従来の英検と同じ
- 受験できるのは受験生のみ
- スピーキングは面接官との面接方式ではなく、ヘッドセットをつけてパソコンに回答を吹き込む方式
- 受験回数は年2回のみ
- 対象級は3級から準1級の4グレード。1級は受験できません。
英検2020 2days S-Interviewとは?
- CBT方式の受験が難しい人のための方式
- 合理的配慮が必要な障がいのある受験生(高3生・既卒生)のみを対象とした方式
- 4技能を2日間かけて測定(=従来の英検)
- リーディング、ライティング、リスニングは解答用紙にマークまたは記述する方式(=従来の英検)
- スピーキングは面接官との対面式(=従来の英検)
- 出題内容、難易度、採点基準は従来の英検と同じ
- 受験対象者は合理的配慮が必要な障がいのある受験生(高3生・既卒生)のみ
- 受験できるのは年2回のみ
- 対象級は3級から1級の5グレード

受験対象者が限定されている点を除けば、従来の英検と同じです。
受験対象者に該当するかどうかは、予約申込時に特別措置申請を行い、英検協会の審査により決定されます。詳しくは英検のホームページでご確認ください。
英検2020 2days S-Interviewは、「合理的配慮が必要な障がいのある受験生(高3生・既卒生)」を対象とした方式です。ここから先は、共通テストのために多くの受験生が選択することが予想される「英検CBT」と「英検2020 1day S-CBT」に的を絞って説明します。
大学入試で英検を利用する場合の注意点
CBT方式では1級は受けられない
英検CBT、英検2020 1day S-CBTのいずれも、対象級は準1級から3級の4グレードです。英検1級は対象級から外れています。
これは、英検1級の2次試験の面接試験が現時点ではCBTに対応できていないからと思われます。
英検1級に合格するほどの英語力を有していて、より高いCEFR(以下参照)を英語成績システムを利用して大学へ提出したいという受験生は、TOEFLやIELTSなど英検以外の民間資格試験を受験する必要があります。
ただし、TOEFLはアメリカ留学向け、IELTSは英国留学向けなど、英語の民間資格試験はそれぞれ試験内容が異なるため、個別に対策が必要です。それだけ受験生には負担が増える、ことも念頭に入れておきましょう。
英検1級相当のCEFR C1以上の英語力を要求する大学の学部学科を受験する場合を除けば、英検以外の民間資格試験に手を伸ばすことはおススメはできません。
英検CBTを受ける際の注意点
- 英検CBTは誰でも受験できる試験ですが、大学入試英語成績提供システムへ提出できるのは、「高校3年生及び既卒生」で「大学入試センターから付与される共通IDを利用して受験する方」に限られます。
- 英検CBTの2020年度試験は、第3回までの日程が予定されていますが、大学入試英語成績提供システムへ提出できるのは、第2回までの試験結果となります。
- 大学入試センターへのデータ提出締切が2020年12月15日のため
- 第1回検定
- 4/19(日)
- 5/17(日)
- 6/21(日)
- 7/23(木・祝)
- 第2回検定
- 8/23(日)
- 9/13(日)
- 10/18(日)
- 11/23(月・祝)
※毎月実施する試験ごとにインターネットで申し込みを受け付けます。
英検2020 1day S-CBTを受ける際の注意点
- 英検CBTと同様に、共通IDを利用して受験する必要があります。
- 受験機会は年間2回まで
- 検定日程
- 第1回検定は2020年4~7月のいずれか
- 第2回検定は2020年8~11月のいずれか
- 検定日程
- 予約申込と本申込の2ステップが必要
- 予約申込
- 第1回検定は2019年9月
- 第2回検定は2020年1月
- 本申込
- 第1回検定は2020年2月
- 第2回検定は2020年6月
- 予約申込
※第1回予約申込期間:2019年9月18日~10月7日
※第1回予約申込時に申込金3000円の支払が必要
※本申込受付期間:2020年2月9日~2月25日
※試験日程は、原則、土日・祝日の日中、または平日夜に実施予定
英検2020 1day S-CBT 予約申込受付サイトはこちら
高2で受けた英検のスコアで大学受験できる例外措置がある
大学受験で利用できる英検は原則として受験する年度の4月から12月までに受ける必要がありますが、その例外があります。
次のようなケースに該当する人は、高2で受けた英検のスコアを大学受験に利用できることとされています。
- 負担を軽減すべき理由のある人
- 非課税世帯であるなど経済的に困難な事情を証明できること
- 離島、へき地に居住または通学していること
- 病気などやむをえない事情で受検できなかったもので、特別に配慮すべきとされたもの
例外措置の考え方は文部科学省から発表されているので、詳細はこちらもご確認ください。
通っている高校の先生に聞いてみてもよいと思います。
まとめ〜大学受験のための新英検対策~
大学受験のために受けるべき新英検とは?
大学受験のためにはどの新英検を受けるべきでしょうか。
多くの受験生が受けることのできる、英検CBTと英検2020 1day S-CBTを比較することになりますが、結論としては英検2020 1day S-CBTを選択すべきと思います。
その理由は、従来の英検との違いが小さいからです。
英検CBTは、4技能全てについてパソコン上で回答します。特にライティングでは、パソコンを使ってタイピングする必要があり、それに慣れていない高校生には負担が重いと考えられます。
もちろん、パソコンのタイピングは、手書きよりも修正や加筆など編集が容易にできるので、パソコンのタイピングに慣れている方は、積極的に英検CBTを選択してもよいと思います。
新英検の対策方法は?
新英検は3つの試験方式とも、
- 出題内容、難易度、採点基準は従来の英検と同じ
とされており、対策の基本は「従来の英検」の過去問を繰り返し行うことです。対策の王道は、これに尽きるといって過言ではないと思います。
新英検が導入された後も、従来の英検はこれまで通りに受けられるので、過去問を解き、本試験を受けることで英検の試験に慣れて、高得点を取るコツをつかんでください。
パソコンに慣れていない高校生が受検するべき英検2020 1day S-CBTについて、従来の英検との違いは、スピーキングの実施方式です。
スピーキングはパソコンへの吹き込み方式のため、面接方式の従来英検とは勝手が異なります。この対策としては、大学受験のために受ける共通IDを利用した2回の英検受験とは別に、英検CBTを受けてパソコン方式のスピーキングに慣れておくと良いと思います。
英検CBTのテストの方式や流れについては、英検協会のホームページで確認できます。イメージをつかむために一度見てみることをおススメします。
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