【大学入学共通テスト】国語、数学、英語はどう変わる?

大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)が2021年度入試から始まります。共通テストの問題作成の基本的な考え方確認するとともに、新たに記述式の問題が出題される「国語」と「数学」リスニングの配点が増える「英語」について、共通テストでどのような問題が出題されるのかを学びましょう!

2019年11月1日に文科省が共通テストにおける英語の民間試験導入の見送りを公表しました。国語と数学の「記述式」問題の導入についても民間事業者による採点の公平性などで問題視されており、萩生田光一文部科学相は12月6日の閣議記者会見で「早期に不安を払拭すべきで、年内には方針を固めたい」と述べたと報道されています。

知識の質、思考力、判断力、表現力を重視

大学入試センターが令和元年6月7日に公表した「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針」には以下のことが書かれています。

知識の理解の質を問う問題や、思考力、判断力、表現力を発揮して解くことが求められる問題を重視する。

どれだけ多くのことを知っているかという「知識の量」だけではなく、どれだけ深く理解しているかという「知識の質」を問う問題や、持っている知識を使って、考え、判断し、文章などで伝える表現力を重視する問題が出題されるということになります。

授業において生徒が学習する場面や、社会生活や日常生活の中から課題を発見し解決方法を構想する場面、資料やデータ等を基に考察する場面など学習の過程を意識した問題の場面設定を重視する。

この記述に関連して、「通常の授業を通じて身に付けた知識の理解や思考力等を新たな場面で発揮できるかを問うため、教科書等で扱われていない資料等を扱う場面がある」とも言及されていることから、授業で学んだ知識と設問の中で得られる情報を関連付けて、仮説を立て、資料に基づいて根拠を示した上で考察したりする問題が出題される可能性が考えられます。

ここまでは、共通テストの問題作成の基本的な考え方について確認しました。次は、大学入試センターが公表している内容から、問題形式、試験時間、配点が変更される「国語」、「数学」、「英語」の問題について個別に見ていきましょう!

共通テストはこう変わる ~国語編~

全マーク式から記述式が新たに出題

国語では「小問3問で構成される大問1問」について記述式が導入されます。

その記述式問題には次の3パターンあります。

  • 実用的な文章を主たる題材とする問題
  • 論理的な文章を主たる題材とする問題
  • その両方を組み合わせた問題

記述式の小問3問で解答する字数の上限は次のとおりです。

  • 最も長い問題で80~120字程度
  • 他の小問2問はそれよりも短い字数

記述式問題は、出題範囲とされる「近代以降の文章」と「古典(古文、漢文)」のうち、「近代以降の文章」についてのみ出題されます。

記述式問題の採点は、大学入試センターが実施しますが、採点作業は民間事業者に委託されます。

国語の試験時間は80分から100分へ

現在行われている大学入試センター試験(以下「センター試験」)は全問マーク式の問題です。

一方、共通テストにおける国語の問題は「マーク式+記述式」の構成となるため、試験時間がセンター試験よりも20分増えて100分となります。

小問が3つある記述式の問題を解かなくてはいけないのに、試験時間が20分しか増えないのか。厳しいテストになりそうだな~。

国語の配点は、「マーク式200点及び記述式問題の段階表示」となります。国語の記述式の成績評価は、マーク式の問題とは異なり、全体及び小問ごとに段階表示が行われます。

共通テストにおける国語のマーク式200点の内訳を次に示します。

  • 近代以降の文章  100点/大問2問
  • 古文 50点/大問1問
  • 漢文 50点/大問1問

2019年度のセンター試験における国語の配点は、現代文100点(大問2問、各50点)、古文50点(大問1問)、漢文50点(大問1問)でした。

つまり、共通テストの国語は、マーク式問題の構成・配点だけ見れば、センター試験と同じですが、新たに記述式(大問1問、うち小問3問)が加わり、試験時間が20分延長(80分→100分)される点が異なります。

共通テストはこう変わる ~数学編~

数学Ⅰでは記述式の問題が出題

数学の記述式の問題は、「数学Ⅰ」及び「数学Ⅰ・数学A」の数学Ⅰの内容に関わる問題において設定することとされ、マーク式と混在させた形で数式等を記述する小問3問が作成されます。

数学Ⅰの内容に関する記述式の問題は点数化されて、「数学Ⅰ」及び「数学Ⅰ・数学A」の配点100点に含んで評価されます。

なお、数学は、「数学Ⅰ」と「数学Ⅰ・数学A」の2科目のうちから1科目を選択して解答します。この点は、センター試験も共通テストも同じ扱いです。

数学の記述式問題は、文章ではなく、数式での記述が検討されています。これは、2018年に行われた2回目の共通テストの試行調査において、数学の記述式の正答率が低かったことを踏まえたのものと言われています。2回目調査では、1回目調査より文章で書く量を減らしたにもかかわらず、小問3問の正答率は3.4%~10.9%と低迷しました。(出典:2019年4月4日 日本経済新聞)

記述式の新設で試験時間が10分延長

数学Ⅰの内容に関わる問題において記述式が設定されることに伴い、「数学Ⅰ」及び「数学Ⅰ・数学A」の試験時間は、センター試験の70分から共通テストでは80分に延長されます。

パパ
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共通テストの試行調査において、数学の記述式の正答率が低調だったことを考えると、試験時間が10分延長されるとはいえ、「数学Ⅰ」及び「数学Ⅰ・数学A」の共通テストは現行のセンター試験より難化が予想されます。

なお、共通テストの「数学Ⅱ」及び「数学Ⅱ・数学B」の試験時間と配点は、センター試験と同じ、60分・100点となります。

共通テストはこう変わる ~英語編~

リスニングの配点が2割から5割へ

共通テストにおける英語の配点は、「リーディング」100点、「リスニング」100点、の合計200点です。

センター試験の配点は、「リーディング」200点、「リスニング」50点、の合計250点ですから、英語の配点全体に占める「リスニング」の割合は、センター試験の2割から、共通テストでは5割と大幅に増えます。

リスニングが苦手な僕にとってはキツいなー。

大学入試センターは「リスニング」の比重を増やす理由を公表資料で以下のとおり記載しています。

グローバル人材の育成を目指した英語教育改革の方向性の中で高等学校学習指導要領に示す4技能のバランスの良い育成が求められることを踏まえ、「リーディング」と「リスニング」の配点を均等とする。

グローバル人材の定義はさておき、世界各国の人々と世界共通言語の英語を通じて意思疎通を図るためには、相手が話していることを正確に聞き取り、理解する力をこれまで以上に養う必要があるということなのでしょう。

ただし、各大学の入学者選抜において、4技能のうち、どの技能にどの程度の比重を置くかについては、各大学の判断となると示されています。

パパ
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各大学の2021年度入試において、英語の能力がどのように評価されるかについては、英語の民間検定試験の扱いも含め、各大学から公表される情報などで確認する必要がありそうです。

 

なお、共通テストにおける英語の試験時間は、リーディングが80分、リスニングが60分(うち解答時間30分)です。現行のセンター試験からの変更はありません。

発音、アクセント、語句整序の単独問題は出題されない

大学入試センターは、外国語の音声や語彙、表現、文法、言語の働きなどの知識を実際のコミュニケーションの中で適切に活用できる技能を身に付けることが重要であり、これらの知識が活用できるかは、「リーディング」「リスニング」の中で評価することとし、発音、アクセント、語句整序などを単独で問う問題は出題しない、と公表しています。

共通テストのための「大学入試英語成績システム」の導入延期が決定されましたが、大学入試センターは、発音、アクセント、語句整序等を単独で問う問題を出題しないこと、英語のリーディングとリスニングの配点を均等にすることについては、変更しないことを公表しています。(2019年11月15日大学入試センター発表内容)

*出典:大学入試センターHP「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針」に基づき作成しました。

 

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