今回は英語外部検定試験の1つであるTEAP(ティープ)について学びましょう!

高校のクラスメイトがTEAP(ティープ)という英語の検定試験を受験するんだって。英検なら僕も受けたことがあるから知っているけれど、TEAPのことは初めて聞いたよ。高校生は英検を持っていれば十分と思っていたけれど、TEAPを受験することで何かいいことがあるのかな?

TEAPは大学受験に役に立つ検定試験として注目されているんだ。TEAPの内容や受験するメリットについて調べてみよう!
TEAPって何?
- TEAPは「ティープ」と読みます。
- Test of English for Academic Purposesの略
- 実用英語検定(英検)で有名な公益財団法人日本英語検定協会と上智大学が共同で開発した英語能力試験です。
- 2014年度から実施されています。

早慶に次ぐ難関私立大学の上智大学が開発に関わっているんだね。

上智大学では2015年度からTEAP型入試でTEAPのスコアを出願条件として採用しているよ。
TEAPの受験資格
TEAPは主に高校3年生を対象に大学入試を想定して開発された英語能力試験ですが、受験資格は高校2年生以上(※)となっています。
※受験年度で高校2年生となる生年月日以前の生まれであること

受験資格については、例えば、2019年度に受験する場合、2003年4月1日以前の生まれであることが条件だよ。
TEAPの出題分野
- 出題される問題は、大学教育で遭遇する語彙・場面・分野(英語で講義を受ける、英語の文献を読み解く、英語で発表を行うなど)を想定した設定・内容となっており、アカデミックな英語に特化しています。
- TEAPでは「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を総合的に測定します。

4技能を測定するテストの1つとして有名なTOEIC®Testsでは、日常生活やビジネスで使われる英語が出題分野になるよ。英語の資格・検定試験の中でも出題分野がそれぞれ異なるから、テストの種類に応じた受験対策が必要だよ。
TEAPの難易度
- 難易度の目安としては、英検の準2級~準1級程度
- 国際標準規格であるCEFRのA2~B2相当の英語能力を測ります。

TEAPの難易度は、高校学習者のレベルに合わせたレベルだよ。
TEAPの2種類のテスト
「TEAP」と「TEAP CBT」の2タイプあります。

2つのテストは何が違うの?

大きな違いとしては、「TEAP」は紙で受験するテストで、「TEAP CBT」はコンピュータ上で実施するテスト。
「CBT」とはComputer based Testingの略だよ。
TEAPとTEAP CBTの違いって何?
TEAP | TEAP CBT | |
テスト構成 | ||
・Reading | マークシートによる択一選択 時間:70分 | コンピュータによる択一選択 時間:約80分 |
・Listening | マークシートによる択一選択 時間:約50分 | コンピュータによる択一選択 時間:約40分 |
・Writing | 解答用紙への記入 時間:70分 | コンピュータの解答エリアへのタイピング 時間:約50分 |
・Speaking | 1対1の面接方式 時間:約10分 | 録音方式 時間:約30分 |
レベル | 高校学習者のレベルに合わせた A2~B2(CEFR) | |
点数配分 | 400点満点 | 800点満点 |
実施回数 | 年3回 | 年3回 |
実施会場 | 全国23都道府県を予定 | 全国13都道府県を予定 |
受験料 | ・4技能(Reading/Listening/Writing/Speaking) 15,000円(税込) ・2技能(Reading/Listening) 6,000円(税込) | ・4技能(Reading/Listening/Writing/Speaking) 15,000円(税込) |

「TEAP」と「TEAP CBT」では、試験時間がセクションごとに異なっているね。

CBTの方は、Wrigingはタイピングで文章を作成したり、Speakingでは1対1の面接方式ではなく録音方式といった具合に紙ベースとは勝手が違うようね。

「TEAP」と「TEAP CBT」では、テスト自体の難易度は同じといわれているけれど、コンピュータ試験に慣れていない高校生はCBTのテスト形式に慣れておいた方がいいよ。日本英語検定協会のホームページでサンプル問題が無料体験できるよ。
TEAPの評価方法
- 「TEAP」と「TEAP CBT」は合格・不合格を判断するテストではなく、英語力を「スコア」と「バンド」で評価します。
TEAPを入試に利用している大学
2019年度一般入試(2019年2月実施)について、東京大学、早稲田大学、慶応大学、上智大学、明治大学、青山学院大学、立教大学における利用状況を調べてみました。(以下の調査内容は2019年5月25日時点)
東京大学、慶応大学
2019年度一般入試において、TEAPを利用する試験方式は実施されませんでした。なお、2020年度一般入試においても、調査時点で、TEAPを利用する試験方式は公表されていません。
早稲田大学
早稲田大学では、2019年度一般入試において、文化構想学部、文学部の一般入試(英語4技能テスト利用型)でTEAPを利用することが可能でした。
- 「国語」
- 「地歴」
- 「英語4技能テスト」(TEAP、IELTS、英検、TOFLE(iBT)、ケンブリッジ英検、GTEC CBT)
「英語4技能テスト」のいずれかにおいて、指定された基準点を上回っている受験生については、国語と地歴2教科の合計点により合否が判定されます。

利用できる英語4技能テストはTEAPに限られている訳ではなく、英検やGTEC CBTなども利用できるよ。
上智大学
上智大学では、2019年度入試において、国際教養学部を除く全学部で一般入学試験(TEAP利用型)を導入しています。調査時点では、2020年度入試の情報は公表されていません。
- 受験前にTEAPを受験し、各学科の出願基準スコアを満たすことで出願ができます。
- 入試当日は英語の試験を行わず、学科指定の必須科目と選択科目(国語や数学、地歴公民、理科)を受験し、合否判定を行います。

上智大学のTEAP利用型入試では、TEAPの事前受験が出願要件となっているんだ。英検など他の英語4技能テストでは受験できないのが特徴だよ。
明治大学
2019年度の一般入試では、商学部、経営学部、国際日本学部の一部の入試方式において、TEAPが利用することができました。
なお、調査時点で、2020年度一般入試の試験内容は公表されていません。
- 英語4技能試験利用方式では、TEAPのほか、英検、TOEFL iBT、IELTS、のいずれかの試験において、所定の基準点を満たしていることが出願要件になります。
- 入試当日に、商学部の英語の試験を受験する必要があります。
- 英語4技能試験活用方式において、TEAPのほか、英検、TOEFL iBT、IELTS、TOEIC(L&R)&TOEIC(S&W)のいずれかの試験において、そのスコアが所定の基準点を満たしている受験者については、入試当日の「外国語」の試験が免除されます。
- さらに所定の基準を満たす受験者については、スコアに応じた得点(20点または30点)を「国語」、「地理歴史、公民、数学」の2科目の合計得点に加算し、総合点で合否を判定します。
- 一般選抜入学試験において、TEAPのほか、英検、TOEFL iBT、IELTS(アカデミックモジュールに限る)、TOEIC(L&R)&TOEIC(S&W)、GTEC CBT、ケンブリッジ英検のスコアが所定の基準を満たす受験者については、試験科目「外国語(英語)」(200点)の得点を満点に換算します。
- 合否の判定は、「国語」、「地理歴史、公民」、「外国語(英語)」の3科目の総合得点で行います。
青山学院大学
2019年度の一般入学試験(個別学部日程)では、一部の学部における一部の入試方式において、TEAPを利用することができました。
調査時点で、2020年度一般入試(2020年1~2月実施)の試験内容は公表されていません。
- 総合文化政策学部 総合政策学科(B方式)
- TEAP 2技能(Reading/Listening)110点以上
- 地球社会共生学部 地球社会共生学科(B方式)
- TEAP 2技能(Reading/Listening)110点以上
- コミュニティ人間科学部 コミュニティ人間科学科(B方式)
- TEAP 2技能(Reading/Listening)110点以上
- 文学部英米文学科(C方式)
- TEAP 4技能 総合点280点以上かつ各技能65点以上
- 出願時にこのスコア要件を満たしている必要がある。
- 経営学部経営学科、マーケティング学科(C方式)
- 2技能 Reading/Listening
- 学部の外国語試験は課さない。
立教大学
2019年度の一般入学試験では、一部の学部の一部の入試方式において、TEAPを利用することができました。
なお、調査時点で、2020年度一般入試(2020年2月実施)の試験内容の詳細は公表されていません。
- 大学入試センター試験の「外国語」で英語を選択している場合で、TEAP、TEAP CBTなどの英語資格・検定試験の成績が、各技能(Reading、Listening、Writing,Speaking)における所定のスコア要件を満たす受験生が出願することができます。
- 英語資格・検定試験のスコアに応じて、立教大学が定めた換算表に基づき換算得点を付与し、「大学入試センター試験の英語得点」と「英語資格・検定試験の換算得点」のいずれか高得点である方を合否判定に採用します。
- TEAP、TEAP CBTなどの英語資格・検定試験の成績が、所定のスコア要件を満たす受験生が出願することができます。
- 出願する学部・学科によりスコア要件は次の2区分あります。
- 文学部、経済学部、法学部、社会学部、経営学部経営学科など
- TEAP(R/L+W+S) 226点以上
- TEAP CBT 420点以上
- 経営学部国際経営学科、異文化コミュニケーション学部
- TEAP(R/L+W+S) 334点以上
- TEAP CBT 600点以上
- 文学部、経済学部、法学部、社会学部、経営学部経営学科など
TEAPを受験するメリット
ここでは、大学受験におけるメリットについて考えます。
前述のとおり、2019年度の一般入試において、早稲田大学、上智大学、明治大学、青山学院大学、立教大学では、TEAPを利用した入試方式を採用しています。
ただし、これらの入試方式では、上智大学の一般入試「TEAP利用型」と青山学院大学の一部の学部・試験方式を除き、英検,IELTS®、TOEFLなどの他の英語資格・検定試験を利用することができます。
つまり、英検などの他の英語資格・検定試験と比べて、TEAPを受験するメリットは、今のところ、主として上智大学を受験する場合のみといえます。
上智大学を受験する場合、TEAPを受験するメリットがあるかといえば、必ずしもそうとは言えません。なぜかというと、現時点、上智大学で採用している「TEAP利用型」入試は、TEAPの成績が所定のスコアを超えた場合に出願することができ、所定のスコアを超えてしまえば、国語と社会等の2科目で合否判定がなされるルールだからです。
つまり、上智大学の「TEAP利用型」入試は、英語が得意な受験生にとっては、英語の点数で差をつけることができない制度といえます。
したがって、TEAPを受験するメリットとしては、上智大学が第一志望であり、かつ英語が不得意な受験生、ということができます。
なお、上智大学では2021年度以降の入試において、外部の英語資格・検定試験のスコアを出願資格のみならず合否判定に利用する方針を公表しています。この場合でも、TEAPだけが他の英語資格・検定試験と比べて特にメリットが認められるとは今のところ言えないと思います。

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